箱庭世界共有の喜び
- cocorokirakira-day
- 8月1日
- 読了時間: 2分
箱庭は、人により、過程の様子も出来た様相も千差万別である。
砂面にある一種の玩具のみ並べていた子が、ある時から砂のみを動かすようになり、触ったり押したり手につかんでばら蒔いたりすることを繰り返しつつ、砂を大きく掘って大きな山を作りだした。それは、表相のみ見せていた子が、自分の内側に目を向け、大きく掘り起こしているように見えた。作物が育つには土を掘り起こし、耕し、まず土を柔らかくしなくてはならない。この子はまるで今、その作業をしているように思えた。

また、部屋に入ると玩具をとりだし、すぐに置き始める箱庭作りの大好きな子は、初めたくさん動物を置き、生命のエネルギーのみが動いているような混沌とした弱肉強食の原始的な世界を作っていたが、そこに火山が噴火し川が流れ陸地が分化し、動物の住み分けができて、秩序ある世界が出現。そして、卵や子を守る親、大木の下に集う仲間や対峙する動物、人の出現等、生命が意味をもって生き生きと息づく世界が作られるようになった。
その後しばらく時間を経たある日、大きな図鑑をもってきて開いて見せた。生命の誕生と進化の頁を開き、楽しそうに「〇〇は・・・」と感動を交えて話し、強い興味関心を示していた。それはまるで箱庭世界の変容とリンクしているように思えた。
またある子は、箱庭の人形を使って動かして遊ぶのが大好きで、何体もの人形を動かし、感情移入しつつ戦いをくり返した。人形たちはまるで死と再生をくり返すかのように、砂に倒れ埋められては復活する。同じような動きが続く中で、川によって場面が二つに分割されたり、防御の壁が出てきたりと、心の世界の舞台そのものに微妙な変化が出てくる。
それまでひたすら一人で遊んでいた砂の世界に、ある日その子は私を誘い、砂の中に手を埋めて隠し、指を一本ずつ見せて、私にその指が何指かを当てさせる遊びを始めた。その子は私の顔と自分の指を嬉しそうに楽しそうに見比べながら当てさせる。それは実に楽しい時間だった。
箱庭で各々一心に遊ぶ子どもの心の世界に感動をもらい、子どもの心の育ちの一場面に立ち会わさせてもらえることは、本当に楽しく幸せなことであると思っている。感謝。




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